四方を海で囲まれた日本の海岸には、昔からいろいろな物が流れ着きます。
1898(明治31)年、伊良湖の海岸で椰子の実を拾った柳田國男は、それにえも言われぬ感動を覚え、島崎藤村に伝えました。「名も知らぬ遠き島より・・・・・・」日本を代表する抒情詩「椰子の実」はこうして生まれたのです。
瞬時に情報が世界中を駆け巡るようになった現在でも、ゆったりとした「海上の道」の流れは柳田の時代と変りません。現代でも、その流れに乗ってやって来る「漂着物」をじっくりと観察すると、環境問題・民俗学・自然科学・創造文学・芸術など、実にたくさんのメッセージが含まれていることがわかります。
ひとつの漂着物でも、視点を変えれば大変興味深いものです。
全国にはこの「漂着物」に関心を持ち、研究やビーチコーミングという楽しみ方をされている方がたくさんいます。漂着物学会は、それぞれのフィールドで、いろいろなテーマを持って活動する人達のネットワークから生まれた21世紀の民間学です。この学会では、いろいろな関心や研究を一定の枠の中にはめ込むのではなく、あらゆる分野を網羅した自由な学会を目指しています。
もちろん海から遠くてなかなか海に行けない方でも、「漂着物」に関心のある方、ぜひご入会下さい。