会長挨拶

漂着物学会へようこそ

漂着物学会会長 中 西 弘 樹

 漂着物学(Driftology)とは、私たちが作った造語で、漂着物に関する総合的な学問のことです。日本は海で囲まれた島国です。また沿岸には世界の二大暖流の一つである黒潮が流れており、海岸にはさまざまな漂着物が見られます。その漂着物は日本人の暮らしや文化、あるいは生物相に大きな影響を与えてきましたし、現代では漂着ゴミとして問題となっている物もあります。したがって、漂着物は、民俗学や歴史学、地理学、生物地理学、生態学、海洋学、環境科学、環境教育など、さまざまな学問分野に関係しており、それらを横断的にあるいは学際的に研究するのが漂着物学です。そしてこの漂着物学を研究する人、あるいは漂着物に興味がある人の集まりが、この漂着物学会です。

漂着物学会は2001年に発足した新しい学会で、会員数も200余名と小さな学会です。しかし、毎年1回行われる大会は全国各地で開催され、会員の3分の1近くの人々が集まり、皆さんすぐに顔見知りになることができる親睦団体でもあります。会員の職種も幅広く、大学や研究所、博物館等で専門に研究する人ばかりでなく、医者、会社員、OL、主婦、企業経営者などさまざまであり、数ある学会の中でも最も多様な会員で構成されていると言っても過言ではありません。

海岸に打ち上げられた漂着物を集める趣味は、ビーチコーミングと呼ばれ、欧米ではコインや切手収集などと同じ「お気に入りのグッズ集め」に「ハイキング」を合わせた趣味として知られています。会員の多くはこのビーチコーミングから研究に入った人も少なくないでしょう。日本では知られていなかったビーチコーミングと言う用語も、現在では漂着物学会の会員の活動を通して一般的な言葉として定着してきました。また、会員によって全国各地で漂着物展が開催されるようになり、一般の人々に漂着物が身近で興味深い物であることを広めてきました。

漂着物に少しでも興味のある方は、ぜひ本学会に入会し、知識を得たり、情報を交換しながら、研究の幅を広げたり深めたりしてみませんか。